リウマチ性の病気の感染理論


リウマチ性の病気が感染に起因していると言う理論は、古くからある考え方で最近また見直されています。1940年まではほとんどの病気は何らかのばい菌によって起こされると考えられていました。電子顕微鏡が導入される前でしたから多くのばい菌は、はっきりと観察され名前を付けられる事は無かったし、ウィルスなどは見ることさえ出来なかったにもかかわらずに。特定の考えられる原因を分離し見分ける事の困難さが、何十年もの間リウマチ性の病気の感染説が流行らなかった理由の一つです。

もう一つの理由はコーチゾンの躍進に有ります。これは強力な抗炎症作用があり、糖尿病に対するインスリンと同様の役割がリウマチ性の病気にもあると誤って考えられました。時間が経つとそうではなかった事が明らかになりましたが、多量投与のコーチゾンはとても危険であり、リウマチ学の細分化された専門分野の全体が間違った判断の上に立ってしまい、この間違いは制度的な伝統にまで発展してしまったのです。

今日では、バクテリア、マイコプラズマ、ウィルスが遺伝的な傾向に影響されて、慢性関節リウマチ、強皮症、ルパス、線維筋痛及び結合組織に関連した病気の第一の原因と疑われると広く受け入れられている。実際新しいばい菌理論は、アルツハイマー病から多発性硬化まで、潰瘍から喘息、癌までの広い医療分野の中で支持を集めている。全てのケースにおいて、証拠が如何にめざましい物であり、結果が革命的であっても、この感染の原因に対する理論とその治療法に対する最初の反応は、既存の概念に対する如何なる挑戦を危険視する組織からの強い抵抗をしめすのが常である。

リウマチ性疾患の大半の形への最も可能性の高い感染原因は、大きさでは細菌とウィルスの中間の大きさの組織体クラスに属する。現在ではマイコプラズマと呼ばれ、60年も前にロックフェラー財団でトーマス・マクファーソン・ブラウン博士によって初めて関節内の液体から分離された。ポリオのパイオニアであるアルバート・サビン博士による初期の研究で助手を務めたブラウン博士は次の半世紀にわたりリウマチ性疾患の感染原因論の研究と、此れをコントロールする安全で安価な抗生物質療法の研究に没頭した。ブラウン博士はヘンリー・スキャメルと共に「ロード・バック」を著し、これが一般大衆には最初の事例となり、後日ロードバック財団の名前の由来となった。

ブラウン博士が1989年に亡くなった時には結合組織病に対して抗生物質療法を提供していた医師は片手で数える事が出来る数であった。現在では数千人を数えるようになっている。3年前には米国のリウマトロジストのたった14%しか慢性関節リウマチに対してこの治療をしていただけであった。どんな医療の専門分野でも新しい発明を恐れ、ほんの少ししか受け入れない傾向があり、未だに変革に対しては抵抗が溢れているけれども、今日では抗生物質療法は全てのリウマトロジストの約半数によって処方されており、この率は着実に増えている。